残業

優秀な人は残業しないと「人事」は言います。だから、時間を成果に置き換える裁量労働制は素晴らしい制度なのだと。

ですが、現実としては日本のエンジニアでも、優秀な人は人の二倍、三倍の仕事ができてしまうので、じゃあ、こいつに残業させた方が人を追加で雇うよりも安上がりじゃねと、まず「人事」が考えます。

で、どうなるかと言うと、優秀な人が育てた人材を他所の部署に人事異動させます。人がいなくなりまして、優秀な人は残業するようになります。で、ある日、優秀な人は、残業してもしなくても仕事量は無限に増えるので関係無いという真理の扉を開いてしまいます。優秀な人は、残業しないけど優秀な人にクラスチェンジします。優秀な人なので、人事査定はちゃんと評価されます。これが冒頭の人事の言葉の正体です。でも、それが、優秀な人が本当に力を発揮できる職場なのか、ちゃんと議論しないと日本の製造業はいずれ海外の半導体を組み込むだけの商社になると思います。

裁量労働制を導入する人事担当の皆さんは、Excelで人件費がいくら抑制されたかを計算するだけでなくて、企業の技術力がどうなっているのかという観点でちゃんと制度評価をお願いしたいと思います。少なくとも、制度変更の結果、会社に来れないような状態になる社員がいるのであれば、それは担当者として重く重く受け止めるべきです。